「心に残るロータリアンの言葉」

【第36回】

       

                                  

中井 義尚会員

「S.A.A.について」                   
 ロータリークラブの例会場にきてまずどこでも眼につくのが、S.A.A.と記した赤い襷を肩から掛けた数人の人たちです。S.A.A.はSERGENT-AT-ARMSの略ですから「武装した護衛官」です。その起源は中世英国の封建君主の身辺を護るために選ばれた武装士官で、ナイトに準ずる処遇を受けたようです。このS.A.Aという名が、そのままロータリーに導入されて、会場の設営や秩序維持にあたるための重要な存在となり、会長や幹事とならんでクラブ役員としての地位をはっきり定款で確立されるようになったのです。委員会資料にはあなたの任務として、「秩序正しく、品位あり、しかも能率的なロータリークラブの会合を維持することに努力し、クラブの訪問者および来賓によい印象をあたえるようにすること。あなたはロータリー・クラブの品位および威信を落とすようないかなる出来事もこれを防止するように、つねに気をくばっていなければなりません。」と書いてあります。          
 楽しい例会ということはよく言われますが、本当に例会を温かく楽しく盛り上げることは、実際にはなかなか難しいことです。例会を楽しくする上で、S.A.A.はもっと活躍する余地があると思うのですが、日本人はそういう集会の演出ということがはなはだ不得手です。したがってどのクラブに行っても、S.A.A.はきわめて事務的な取りしきりしかやっていないようで、これがまた日本のクラブの例会を堅苦しくしているのではないでしょうか。元来SERGENT-AT-ARMSなどといういかめしい名前をことさらロータリーに持ちこんだのが一種のユーモアですから、S.A.A.は大いにユーモア振りを発揮したらいいのです。ついでのことに無味乾燥なあの襷も、もう一工夫して袈裟形に直すとか、外人にもハッピイ・コートで通じるはっぴを着せるとか、思いきったことをやってみるクラブが現れないものかと思っています。

           佐藤千壽 東京江北R.C.(P.D.G.)「ようこそロータリーへ」(1983)から