「心に残るロータリアンの言葉」

【第35回】

       

                                  

中井 義尚会員

「新会員とクラブ奉仕委員会のために」                   
 ロータリーでは会員を選ぶのに多少の例外はあっても一業一人という職業分類の原則を守り、出来るだけ地域社会の違った業種から代表者を集めるようにしています。そうすれば同業者間の利害関係を離れて、胸襟を開いて語りあえるし、また自分の知らない世界の知識を得ることもできるというものです。またクラブのほうから見てもそれによって地域社会のあらゆる職業を網羅し、すべての業界にロータリー精神を滲透させることができるということになるでしょう。        
 さてしからば、ロータリー精神とは何なのか。これを説明するのはたやすいようでもあり、また難しいようでもあり、結局ご本人が腹の底から会得するには、ロータリーの経験をある程度積まなければなりますまい。ただ言葉で簡単に表現すれば、一人一人が他人の立場に立ってものを考え、他人のお役に立つような行動をしようということです。「情は人の為ならず」というが、結局はそれが自分も仕合せになる道である−こういう思想がロータリー精神であり、ロータリーのいう奉仕というのはそこから出てくる行為であります。そしてロータリー・クラブという組織は、そういう精神を鼓吹し、そういう奉仕の道に熱意を燃やす人を育てようとする学校なのです。        
 あなたは今この学校に入られました。ところがこの学校には入学はあっても卒業ということがありません。そこがまたこの学校のすばらしい所で、あなたはロータリーを学ぶに従って楽しくなり、ロータリーの道の無限であることを知るに至るでしょう。どんなに立派な会員でも、人間である限り未完成で、だからこそまたロータリーへ来たら、みんな平等だというのです。ここへ来たら誰に遠慮することもありません。胸襟を開いて語り合いましょう。                       

     佐藤千壽 東京江北R.C.(P.D.G.)「ようこそロータリーへ」(1983)から