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〜会長の時間 6月〜
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6月21日からは二十四節気の「夏至(げし)」です。冬至とは逆に、一年で一番昼が長く、夜が短くなる時期。梅雨の盛りでもありますので、気温の面ではまだ真夏という感じはしませんが、日照時間はこれから冬に向かって少しずつ短くなっていきます。
6月21日〜6月25日は「夏至(げし)」の初候である「乃東枯(なつかれくさかるる)」です。乃東(だいとう)または夏枯草(かこそう)の異名をもつ植物「靫草(うつぼぐさ)」は、毎年冬至の頃に芽を出し、夏至の頃に枯れます。これから真夏にかけて、野山ではいっそう木々の緑が深まり、色鮮やかな夏の花も開花しようという時期なのに、ひっそりと枯れていく珍しい花に心を寄せた、古人の自然へのまなざしを感じさせる言葉です。
昨年はシェークスピアの没後400年の記念の年でした。イギリスでは様々な記念行事が行われたようです。シェークスピアの『お気に召すまま』はご存知でしょうか。この中に『この世は舞台、男も女もみな役者』という有名なセリフがあります。古代ローマ時代にもすでに皇帝ネロの側近で詩人だったペトロニウスが『世界中の人々は役者として生きている』という言葉を残しています。ルネサンスを経て「世界劇場」という思想が形成されたのがこの時代です。
私は中学校の職業講話の時などには「よい職業人になるには、自分の理想の職業人を思い描いてそのようになろうと努力することだ」と話しています。理想の医師、看護師、営業マン、職人を思い描いて演じる事が大事だと思います。
仕事だけではありません。よい大人になることも、よい父親、母親になることも同じです。始めから大人や親の素質を持った子供なんてものはいません。与えられた大人という役をこなしているうちに大人になっていくのです。「努力する=役を演じる」ことで段々大人や親になっていくのです。
その意味では「自分探し」などということは意味がありません。自分に合った職業というのも探すものではないでしょう。役者は自分に合った役を探しに旅に出たりはしません。与えられた役をいかに上手に演じるかを考えるだけです。
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2017年 6月30日 第1971回 |
入会予定の山元さん、ようこそ。いよいよ次週からは、再び私たちの仲間として活躍して下さることでしょう。
今日で、私の会長としてのお話は最後です。一年を振り返ってのお話は、後ほど、クラブフォーラムでしたいと思います。
さて、最後の季節のお話です。6月26日〜7月1日は「夏至(げし)」の次候である「菖蒲華(あやめはなさく)」です。水辺に菖蒲(あやめ)の花が美しく咲く頃です。平安文学などにアヤメと書かれたのは、端午の節句の菖蒲湯にその葉を使うサトイモ科のショウブのことでした。やがて、江戸時代になってから、アヤメといえば今のアヤメ科のアヤメを指すようになったという経緯があります。同属の燕子花(かきつばた)とは、「いずれあやめか燕子花」という言葉どおり、非常に見分けがつきにくいです。
【アヤメ】生育地…乾燥地/ 花… 花弁の根元に網目状模様
【ハナショウブ】生育地…半乾燥〜水湿地/花…花弁の根元に黄色い目型模様
【カキツバタ】生育地…水湿地/花…花弁の根元に白い目型模様
今日は六月の30日です。6月晦日(みそか)は十二月の大晦日に対応する「大祓(おおはらえ)」の日です。穢れや厄災を祓う「夏越の祓(なごしのはらえ)」の神事が行われます。なかでも「茅の輪くぐり」は有名ですが、私はまだくぐったことがありません。
さて、最後に私から贈る言葉は「プロフェッショナルであれ」ということです。ロータリーは職業人が行う職業奉仕が基本です。職業人と胸を張って言えるためには、少なくともその分野のプロフェッショナルであるという自覚が必要です。
当たり前のことですが、なぜこんなことを言うかというと、プロフェッショナルとは思えないような情けない人を見かけることが度々あるからです。お金をもらう限りアマチュアではありません。でもプロフェッショナルに成りきれていない人も多いのです。自社の商品の利点、欠点や使用方法をよく理解していない営業マンをちょくちょく見かけます。健診に行くと、子どもがその言葉をどういう風に受け止めるかを考えていない保母さんや教師も良く見かけます。
大事なのは「周囲にアンテナを張ること」、専門分野にも、それ以外の分野にも、自分にも、相手にも、よく見てよく観察するということです。次に「基本的な事を関連付けて考えること」、それが応用につながります。そして「常に最善を考えること」です。そうすれば、すばらしいプロフェッショナルになれることでしょう。
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