岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
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第1960回例会 3月24日(金)

卓 話

【「木材と環境〜森破れて山河なし〜」】





東洋木材新聞社  
社主 島 崎 公 一 様


(担当:杢保正夫会員)



新聞記者からみた木材と環境

原点は地球環境保護
◎1988年アメリカでの縞フクロウ保護。
↓  絶滅危惧種の保存。
◎1992年ブラジルサミット(地球サミット)
↓  地球温暖化防止にシフト 
◎1997年のCOP3京都議定書 今年(11月)はCOP18
(Conference Of Party=政策決定会議)
↓ IPCCの科学者がCOPに[林業部門が低コストで
排出量の削減及び吸収源の増加に寄与する]と提言。
◎2025年までにCO2削減25%以上、木材自給率50%以上

木材を使用せよ(特に国産材)という法律が続々と誕生

◎木造住宅と木造建築物が徐々に増加

◎2016年 パリ協定(COP21)
今世紀後半に世界全体の温室効果ガスの排出をゼロにすることをうたう。
先進国のみに温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書とは違いすべての国が削減目標を自主的に作って報告、達成に向けた国内対策をとることを義務付けた。京都議定書から18年ぶりの国際合意。産業革命前に比べて2度より十分低く保つこと。1.5度以内に抑える努力をする。

◎東京五輪の諸施設を筆頭に木造・木質化の波は衰えない。地方再生と林業の復活。

※(一社)日本オオカミ協会の話題

すべての生き物は森の恵みで生かされています。森が荒れれば災害が多発し川も氾濫し海もおかしくなります。日本が誇る美味しい水も無くなります。土壌の源は森林です。生態系が崩れると人間も滅びます。森林の荒廃は国の荒廃と同意語だと言っても過言ではありません。国土の約70%を森林が占める世界第2位の森林大国日本は今、木を伐らないことで窮地に陥っています。つまり、世の中で悪とされている熱帯雨林の乱伐とは正反対のことが今、日本で起こっているのです。
日本の森林には大きく分けて二種類あります。生態系の維持や環境保全を目的とした自然のままの森林(保護林・保安林、全体の約2%)と、計画的に人の手を入れて伐採しなくてはならない森林です。戦後、旺盛な住宅需要を賄う資材として木材が大量に必要となりました。そして、戦前の大量伐採でハゲ山だった日本の山が、国の推進する造林政策によって蘇りました。成長すれば伐採して住宅等の資材に供するのが目的だったのです。ところがその拡大造林によって植えられた人工林が60年後の今、社会問題(花粉症含む)にまでなっています。成長した人工林は伐採されず、手入れもされずに山に放置されたままなのです。これが森林の荒廃の原因の一つです。ご存じないかもしれませんが、世界で一番安い木材は日本のスギです。日本のスギやヒノキをもっともっと使うことが日本の森林の荒廃を防ぐことに繋がるのです。みなさん、農業・稲作のことを考えてください。春に田植えをして秋に収穫する。そして食卓に上がって美味しいご飯になる。林業も同じです。30年、50年したら伐採して家や家具にするために植えた木が伐採されずに放置されている、収穫されずに放置されているのです。使うために植えた木です、もったいないと思いませんか?
計画的に木を伐り、上手に使い、そしてまた植えて育てる。鉄やアルミ、プラスティック等の石油化学製品とは異なり、枯渇することのない循環型資源である木材を使うことは二酸化炭素の排出抑制にも効果的です。私たちが木材を有効活用することによって山にお金が戻り、結果として森林が豊かになって生態系が維持され、災害を未然に防ぎます。加えて、二酸化炭素を固定する森林は地球温暖化防止に貢献し、本物の木材に囲まれた生活は健康にも良いことが科学的に立証されています。産業革命以降人間は地下資源を使って環境を破壊してきました。これからの時代は地上の資源を使い、持続可能性のある社会の構築を目指すべきです。「森破れて山河なし」です。
「私たちの環境は先祖から譲り受けたものではない、子孫から借りているものだ」という言葉があります。環境と森林・木材との素晴らしい関係をご理解いただき、生活の場で活かしてください。美しい日本を子孫に残しましょう。