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『 卓 話 』 |
【使うのはどっちか?】
加 藤 寿 昭 会員
文章を書くとき、どちらの文字または言い回しを使うべきか迷うことがあります。そんな例を見てみます。
一所懸命vs一生懸命
「一所懸命」が本来の意味で、所領を命がけで守ることの意ですが、生涯を掛けて守ると言うことから、「一生懸命」に転じた。今では後者の方が優勢。
病膏肓にいるvs病膏盲にいる
道楽や趣味に夢中になり、手が付けられなくなるほどのめり込むことで、膏肓に病が入ると回復の見込みがないと言う意でこちらが正しいが、肓が盲と混同されて、「こうもう」の読みが生まれた。広辞苑では慣用とする。
崖っ淵vs崖っ縁
崖の下には普通、水が深く淀んだ淵がある場合が多く、「淵」と思いがちだが、ふちとは「へり」の意で崖の落下が始まろうとする辺りのことで、「縁」が正しい。
苦渋を嘗めるvs苦汁を嘗める
「苦渋」は苦しみ悩むこと、「苦汁」は苦い汁。飲んだり嘗めたりするのは汁だから、「苦汁を嘗める」が正しい。「苦渋」は「苦渋に満ちた表情」のように用いる。
卓話ではもっと多くの例をお話ししましたが、紙面の都合上ここまでにします。
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