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『 卓 話 』 |
「平成27年度税制改正
『財産債務調書』について」
木 戸 伸 男 会員
平成27年度税制改正前においては、所得税法232条により、各年分の総所得金額が2,000万円を超える者は、確定申告書とともに、「財産及び債務の明細書」を提出しなければならないとされていました。
しかしながら、この「財産及び債務の明細書」については、罰則規定がないことから提出率が40%程度で、記載内容も概括的で、税務当局が内容を検証して活用するためには、不十分であったと思われます。
そこで、従来の「財産及び債務の明細書」の提出基準を見直し、所得基準のみであった提出基準に新たに資産基準を加えて、提出義務対象者を限定する一方で、これまで以上に詳細な財産及び債務の内容の記載を求めることとし、更に適正な記載及び提出を確保するために、加算税の加減算措置を設けて整備された、「財産債務調書」の提出制度です。
この改正は、平成27年分の確定申告に伴う提出分から適用されます。
(1) 財産債務調書の提出義務者
その年分の総所得金額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産、又は、その価額の合計額が1億円以上の「国外転出特例対象財産」を有する場合
(2) 財産債務調書の記載事項
財産債務の種類別、用途別(事業用及び一般用)、所在別にその財産の数量及び価額又は債務の金額その他の事項を記載する
(3) 過少申告加算税の特例
財産に関して生じる所得に対する所得税、又は、財産に対する相続税に関して修正申告等があり、過少申告加算税又は無申告加算税が課される場合において、
(1)期限内に提出された「財産債務調書」にその修正申告等の基因となる財産が記載されている場合は、加算税の額が5%減額されます。
(2)「財産債務調書」が期限内に提出されなかった場合又は提出された「財産債務調書」にその修正申告等の基因となる財産が記載されていなかった場合は、加算税の額が5%加重されます。
なお、「財産債務調書」の不提出に対する罰則規定は設けられていません。
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