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『 卓 話 』 |
「民法改正について
〜私たちの生活はどう変わるのか〜」 池 内 清一郎 会員
1.なぜ民法改正か
現行民法は、明治29年(1896年)に制定され、翌年7月施行
その後、新憲法の制定に伴い家族法の部分の全面的改正や一部制度の新設やカタカナ文語体からひらがな口語体に現代語化されるなどは行われたが、財産法については、制定時の基本部分のまま現在に至っている。
しかし、民法制定後、経済活動の複雑化・高度化、グローバル化が進んでおり、その社会・経済の変化への対応を図り、国民に分かりやすいものとするなどの観点から改正となった。
2.民法改正案のポイント
(1)消滅時効
現行法
消滅時効 原則、権利を行使することができる時から10年とされている(167条)
例外 商事債権 5年(商法522条)、短期消滅時効
改正案
「権利を行使することができる時から10年間」という要件(客観的起算点)はそのままに、「権利を行使することができることを知ったときから5年」という要件(主観的起算点)を設け、いずれかの要件さえ満たせば消滅時効が完成するようにした。商事消滅時効や職業別の短期消滅時効は廃止
今後は、多くの債権は、「知ったときから5年」のルールに従って処理される
(2)利率
現行法
一般の法定利率は年5%、商事関係の債権の法定利率は年6%
現行法の利率は、金融市場における実際の金利水準と比較して高すぎる
改正案
法定利率を3%に変更した上で、その後の金融市場の変動状況を踏まえて、3年ごとに見直しを行う変動制を導入
(3)保証
現行法 保証契約は書面でしなければ効力を生じない(466条2項)。
改正案
@ 公正証書の作成義務の新設
例外 主たる債務者が会社の場合、当該会社の取締役、執行役、総株主の議決権の過半数を有する者
A 個人根保証契約全般につき極度額の定めが要求
よって、賃借人の賃料等についての保証についても極度額の定めが必要
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