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『 卓 話 』 |
「更生保護について 〜協力雇用主への入会のご依頼について〜」
大阪保護観察所 次長 砂 川 剛 志 様
皆さん、「更生保護」をご存じでしょうか。更生保護とは、犯罪をした人や非行のある少年を地域社会の中で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの人たちが改善更生することを助ける事です。
犯罪や非行を起こした人は警察に捕まって、その後どうなるのでしょうか?警察から検察庁に送致され、成人は地方裁判所、少年は家庭裁判所に送られます。裁判の結果、刑務所や少年院に収容される人もいますが。少年では保護観察の決定を受ける人、成人では刑の執行猶予保護観察付きになり、保護観察を受けます。また、刑務所や少年院に収容された人は、その後、仮釈放や仮退院になったりして、保護観察を受けることになります。
保護観察は、国家公務員である保護観察官と地域のボランティアである保護司さんが協働して、保護観察を受けている人たち(以下「対象者」という。)の指導監督、補導援護を行います。昔は、保護司さんを地域の名誉職的に言う人もいましたが、現在は、犯罪者や非行少年と接し、改善更生に向けて処遇することと、地域の中で犯罪予防活動を行うことが主な仕事になっています。保護司の方々は、対象者を自宅に招き入れて、面接を行います。対象者は、国からの命令で仕方なしに保護司さんとの面接を受けるのであまり話をしません。保護司さんは、聞くことを中心に面接を行います。また、対象者は、約束を守らない、嘘をつく事が多いのですが、ある保護司さんは、「待つこと」「だまされること」「信じること」を念頭に置いて処遇に当たっており、その結果、保護観察を受けている人たちと信頼関係を築き、更生に導いています。
最近の犯罪状況については、刑務所から出所し、再び犯罪をする者が目立っています。そのため、政府では、昨年7月に犯罪対策閣僚会議で「再犯防止に向けた総合対策」を策定し、対象者の特性に応じた指導及び支援の強化、社会における「居場所」や「出番」の確保の施策が実施されています。一例として、覚せい剤事犯者には、保護観察所で処遇プログラムを実施して、覚せい剤からの離脱に向けての勉強や実際に尿検査を行い、対象者が薬物を使用していない事を確認したりします。
また、再犯に至る人は、「住むところがない」「働くところがない」「相談する人がない」など地域社会での生活が難しいことから、保護観察所では、更生保護施設などで住居の確保、ハローワークと連携した就労支援で仕事を確保する施策を実施しています。
協力雇用主は、前歴・前科を承知の上で雇用する事業主さんで全国に1万社、大阪府下に約700社あり、就労支援には欠かせない方々です。
岸和田東ロータリークラブの皆様の協力雇用主への入会をお願い致します。
(使用した資料)
更生保護及び協力雇用主募集のパンフレット・再犯防止に向けた総合対策の概要 |
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