私は山口県下関市出身のプロゴルファー江原詩織です。
2015年にプロテストに合格し、暫くはイップスというメンタルの病気に苦しみながらも、試合に出場していましたが、現在はイベント参加やレッスンを中心に活動しています。
・ゴルフを始めたきっかけは、
8歳の時に幼馴染に誘われて、打球練習場に行ったことでした。11歳の頃にテレビ番組で上田桃子さんを目にしてから刺激を受け、毎日練習するようになりプロを目指すようになりました。
・学生時代のゴルフの話
中学生の頃は勉学と両立させてゴルフをしており、塾に通いながら、春季や夏季に開催されるジュニアの大会や、県民大会、オープン競技に参加をしていました。
高校は2年生で地元の山口県の高校から広島県の高校に編入し、よりゴルフに励むようになりました。試合にも積極的に出場し、中国ジュニアや中国女子アマチュアのタイトルを手にして周りからの期待はどんどん高まっていたと思います。
・プロテスト合格までの道のり
私は1回目のプロテストでは、ファイナルで失敗してしまい、2回目の挑戦で合格しました。2回目のプロテスト前は練習、トレーニング共にかなりの量をこなしました。最終プロテスト直前には地方へ合宿に出向き、とにかくどこからでもバーディを狙う練習で毎日朝5時から2ラウンドしていました。その練習が身となりバーディを量産できたこと、少々のミスが許されたことでプロテストに合格することができたと思っています。
・プロになってからの試合のスケジュール
プロになってからの試合のスケジュールは3つに分かれます。一つ目はレギュラーツアーにのみ出場する、二つ目はステップアップにのみ出場する、そして三つ目がその両方に出場する、です。
今の女子ツアーには有難いことにレギュラーツアーでは殆ど毎週試合があるほど、ステップアップツアーでも21試合開催できるほどのスポンサー様がいます。その為、レギュラーツアーに参加できる選手は殆ど家に帰ることはなく、毎週のように試合会場のある地域へ移動しホテルに宿泊することが主となります。
テレビで観るプロゴルファーの世界は華やかで楽しそうに映りますが、実際には試合に出場しているプロゴルファーは精神的に病んでいる人が多いように思います。特に試合で予選通過をできない選手は何度か通過落ちを繰り返すと精神的に追い込まれ、周りの応援してくださる方々へ活躍して恩返しをしたいという気持ちが、より焦りやプレッシャーになり、余計に予算通過ができなくなるという悪循環に陥ります。予選通過をできないと、獲得賞金は0円なので、経費を考えるとだいたい一試合10万円~20万円の赤字になってしまいます。上位で活躍している選手の殆どが自信に溢れており、常に上を向いていることも事実です。
・プロゴルファーの仕事
プロゴルファーの収入源は賞金のみだと思われがちですが、そんなことはないです。
試合に出てなくてどうやって食べていっているのか、と聞かれることがありますが、試合に出場しなくても、企業さんやゴルフ連盟さんなどが開催するプロアマ大会やレッスン、テレビや雑誌等へのメディア出演等たくさん道はあります。こちらもありがたいことに個人個人を応援してくださるスポンサー様もたくさんいらっしゃいます。
・スイング理論とトレーニング
昨今、雑誌やインターネットで手軽にいろいろなゴルファーのレッスンを観ることができます。最近ではYouTubeがその主流で、本当にいろいろな理論が流されております。スイングには、本当にこれ!という正解がなく、プレーヤー各々の骨格や筋肉のつき方、体の柔らかさ、体重のバランスに合ったスイングがその人にとっての正解になりますので、自分の体や考え方に合うYouTubeを見つけることが闇雲に全てを試してみることよりも大切です。これは、対面でレッスンを受けるコーチを選ぶ時には、プロを志望する場合でも、アマチュアでスキルアップを目指す場合でも特に大事なことになります。
トレーニングについてですが、プロゴルファーがしているトレーニングにもいろいろな種類があり、体幹トレーニングや持久力をつける為のランニング等は、何日も続く試合を乗り切るために絶対に必要になるので、殆ど全てのプロがしています。重いおもりを持つウェイトトレーニングも飛距離を出したり、軸がぶれない体を造るために取り組んでいるプロが多いです。
岸和田のロータリークラブの皆様はチャリティーでジュニアゴルファーの育成をしてくださるとお聞きしました。もしその子達がプロゴルファーになれなかったら、や、試合で稼げなかったら、と心配されることがあるかもしれませんが、ゴルフをしている限り、プロゴルファーになれなくても、なれたとして試合に出られなかったとしても、いろいろな方法で生活をする道を開くことができます。
また志半ばで折れてしまう子供もいると思いますが、ゴルフをしたことがあるという経験は、その子たちのこれからの人生に大いに役立つと思います。まずはジュニアゴルファーがゴルフを楽しいと思える環境でのびのびと、そして切磋琢磨しながら成長していってほしいと思います。