山本新一郎会長
パンデミック
昨年末ごろ、中国の内陸部に「新型コロナウイルス」が発生した、というニュースが登場しました。今年になってその勢いが急速に拡散し、ここ数日は毎日情報が溢れかえり、少々パニック状態になっています。というのも、感染症の爆発的な流行は「パンデミック」と呼ばれて、社会を壊滅的な状況に陥れることがあるためです。過去には何度かこの「パンデミックを経験してきました。今回の会長の時間では、過去にあった「パンデミック」について考えてみることにします。
14世紀にヨーロッパで大流行した「ペスト」、19世紀から20世紀にかけて流行した「コレラ」、そして1918年から1919年にかけて全世界で流行し2500万人もの死者を出した「スペイン風邪」(インフルエンザ)が有名です。また、インフルエンザパンデミックに限って言えば、1968年から翌年にかけて香港から発生して50万人~100万人が亡くなったとされています「香港風邪」、1956年から中国南西部で発生してアジアから世界中に広がった「アジア風邪」は全世界で100万人~200万人以上が亡くなり、日本でも300万人が罹患し5700名が亡くなりました。記憶に新しいところでは、SARS(重症急性呼吸器症候群)は、2002年11月に中国広東省で生じた発症例を発端とし、2003年7月末までの9か月の間に全世界32カ国において、死亡者774例を含む8,096人が発症し致死率9.6パーセントでした。MERS(中東呼吸器症候群)は、2012年にサウジアラビアで初めて確認されたコロナウイルス感染症。アフリカやヨーロッパ、アジアなど合わせて25カ国で1154人の感染が確認され、少なくとも431人が死亡しました。感染力は強くなかったものの致死率は40%程度と高いものでした。
今回の新型肺炎は、今かなりのスピードで感染が拡大しています。また、日本人の感染者も増えつつあります。発生源とされる武漢の状況を画像で見ているだけでも、その緊迫した状況が伝わってきます。けれども、冷静に見ていくことも必要です。例えば、致死率は大体発表されている限りでは、3~4%です。SARSやMERSの致死率に比べると随分と低くなっています。今後どのように拡散されてくるのかはわかりませんが、まだ今のところ「パンデミック」が想定されるほどではありません。一般的なインフルエンザでも毎年100万人ほどの死者が出ていることも頭の片隅においておくことも必要です。