第2085回例会報告[2020年1月31日(金)]

会長の時間

  山本新一郎会長

パンデミック

昨年末ごろ、中国の内陸部に「新型コロナウイルス」が発生した、というニュースが登場しました。今年になってその勢いが急速に拡散し、ここ数日は毎日情報が溢れかえり、少々パニック状態になっています。というのも、感染症の爆発的な流行は「パンデミック」と呼ばれて、社会を壊滅的な状況に陥れることがあるためです。過去には何度かこの「パンデミックを経験してきました。今回の会長の時間では、過去にあった「パンデミック」について考えてみることにします。

14世紀にヨーロッパで大流行した「ペスト」、19世紀から20世紀にかけて流行した「コレラ」、そして1918年から1919年にかけて全世界で流行し2500万人もの死者を出した「スペイン風邪」(インフルエンザ)が有名です。また、インフルエンザパンデミックに限って言えば、1968年から翌年にかけて香港から発生して50万人~100万人が亡くなったとされています「香港風邪」、1956年から中国南西部で発生してアジアから世界中に広がった「アジア風邪」は全世界で100万人~200万人以上が亡くなり、日本でも300万人が罹患し5700名が亡くなりました。記憶に新しいところでは、SARS(重症急性呼吸器症候群)は、2002年11月に中国広東省で生じた発症例を発端とし、2003年7月末までの9か月の間に全世界32カ国において、死亡者774例を含む8,096人が発症し致死率9.6パーセントでした。MERS(中東呼吸器症候群)は、2012年にサウジアラビアで初めて確認されたコロナウイルス感染症。アフリカやヨーロッパ、アジアなど合わせて25カ国で1154人の感染が確認され、少なくとも431人が死亡しました。感染力は強くなかったものの致死率は40%程度と高いものでした。

 

今回の新型肺炎は、今かなりのスピードで感染が拡大しています。また、日本人の感染者も増えつつあります。発生源とされる武漢の状況を画像で見ているだけでも、その緊迫した状況が伝わってきます。けれども、冷静に見ていくことも必要です。例えば、致死率は大体発表されている限りでは、3~4%です。SARSやMERSの致死率に比べると随分と低くなっています。今後どのように拡散されてくるのかはわかりませんが、まだ今のところ「パンデミック」が想定されるほどではありません。一般的なインフルエンザでも毎年100万人ほどの死者が出ていることも頭の片隅においておくことも必要です。

卓話

「不動産鑑定士の仕事とお得な使い方」

(有)春日不動産鑑定事務所<br />
代表取締役 松田嘉代子様<br />
(担当:辻林一郎会員)

(有)春日不動産鑑定事務所
代表取締役 松田嘉代子様
(担当:辻林一郎会員)

卓話をさせていただきます動産鑑定士の松田嘉代子です。貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
せっかくいただいた機会ですので、不動産鑑定のことを知っていただきたいと思いまして、テーマは『不動産鑑定のお仕事と得する使い方』とさせていただきました。
よく、不動産鑑定っていつ必要なのです?と聞かれます。
確かに不動産売買においては、売主と買主の合意によって価格が決定されます。しかしその時売買の対象物である不動産が移転するとともにその対価である金銭も移転します。多くの方は金融機関から融資を受けますので、金融機関としてはその不動産の担保価値が重要となります。また不当に廉価な売買ですと贈与税ほか不動産取得税、登録免許税等が懸念されます。これらには金融庁や国税庁が絡んでくるので、このようなお役所が絡んできたときが不動産鑑定の出番となります。お役所といえば、遺産分割や代償金、財産分与、家賃増額請求や立退料、地代算定等の裁判所関係にも使われます。
その他不動産鑑定士が毎年行っております地価公示は、固定資産税、相続税、贈与税、不動産取得税、登録免許税の基となっておりますので、本当はとても身近な存在なのです。
私は家庭裁判所の分割担当の調停委員をしております関係で、相続の重要性を日々感じております。遺産分割の調停を申し立てますと、そこまでの家族関係、親族関係が崩壊してしまいます。まさにロス –ロス、幸せになる人はありません。
でも上手に相続対策をすれば、皆さんが幸せになるウィン-ウィンの方法を見つけることができます。その時にはきっと不動産鑑定がお役に立ちます。
不動産はそれぞれ個性があります。にもかかわらず相続の際の評価は画一的な大量・一括評価を前提としていますので、個性を反映しきれないという相続税の路線価評価の限界は必然と言えるでしょう。
具体的には、標準的な土地以外は減価の可能性があります。①路線価評価は宅地を前提としています。したがって宅地ではない土地(建物が建てられない無道路地、三角地、狭小地、帯状地、法地等)②通常使用を前提としています。したがって利用制限のある土地(高低差のある土地、建築基準法上の道路に面していない土地、私道として利用されている土地、借地権、底地等)、③市場流通を前提としています。したがって売却困難な土地(多額の造成費、開発費のかかる土地、市街化調整区域内の雑種地、空室が多いが取壊費用が多大な賃貸マンション、管理費の高い別荘地、土壌汚染、地下埋設物、発掘頻度の高い埋蔵文化財包蔵地等)これらについては、一度不動産鑑定の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
なにより、不動産鑑定士は不動産の価格に関する専門家ですので、とりあえず不動産に関することはまず不動産鑑定士にご相談いただければ、安心をお届けできるのではないかと考えます。

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