山本新一郎会長
あらためて「ポリオ」について考える
前回の会長の時間で、「10月24日はポリオの日」ということをご紹介しました。そして、「野生型ポリオ」の常在国は世界であと、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアの3か国だけになったことをお話いたしました。しかし、今回皆さんにお配りしましたように、2000年以降およそ20年ぶりにフィリピンで発生したことが報道されました。このニュースは大変衝撃的なことで世界中のロータリアンにとっては残念なニュースです。けれどもこれによって、常在国が4か国になったのか?というとそうではありません。ポリオの感染は、上記しましたように、「野生型」というものと、生ワクチンの使用に基づいて発生する、「ワクチン由来」という2種類があって、後者の方は上記の3か国以外でも毎年発生しています。
今回は、このような話も含めて、簡単に「ポリオ」についてあらためて考えてみたいと思います。
- 感染源・・・ポリオは,感染者(主として小児)の糞便又は咽頭分泌液との直接接触等によってウイルスが人の口の中に入り,腸の中で増えることで感染します。
2)症状・・・潜伏期間は3~21日,感染しても多くは無症状か軽症ですが、感染者の0.1~2%が典型的な麻痺型ポリオとなり,微熱が発生して後、解熱に前後して急性の下肢などの筋肉の麻痺が起きることが多いです。発症から12か月過ぎても麻痺又は筋力低下が残る症例では,永続的に後遺症が残る可能性があります。
3)治療・・・現在,特効薬などの確実な治療法はありません。麻痺に対しては,残された機能を最大限に活用するためのリハビリテーションが行われます。
4)予防接種・・・日本の定期の予防接種では,平成24年9月以降は注射の不活化ポリオワクチンが使用されています。ポリオが発生している国に渡航する人は,追加の予防接種を検討してください。
なお,生ポリオワクチンを接種した場合,ワクチンウイルスが体外に排泄されるため,極めてまれではありますが,接種後便中に排泄されるワクチンウイルスから免疫のない子供や大人に感染し,麻痺をおこすこともあります。