岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
2012〜2014年度RIテーマ
更新履歴
クラブ運営方針
行事予定
役員・委員会構成
委員会活動
会長の時間
例会より
制作:資料管理・OA委員会
 


第1876回例会 5月 22日(金)

卓 話


「今後の大阪について」


大阪府議会
議員 永 野 耕 平 様


大阪の低迷には大きくわけると二つの要因がある。
一つ目は、戦後の高度経済成長を支えた@東京一極集中のシステムである。これは当時の日本の状況から考えると当然の政策と言える。経済と政治の中心を東京に集中することで多くのヒト・モノ・カネを東京に集めることにより、日本全体を経済成長に導いた。しかし、これは高度経済成長という特殊な状況下において有効な施策である。つまり、1970年代に高度経済成長が終わり、じわりじわりと多様化の時代を迎え、東京一極集中では世界の多様化の流れに対応できなくなってきた。米国におけるワシントンとニューヨーク、オーストラリアにおけるキャンベラとシドニーのように我が国も東京と大阪の二極体制を構築し、さらに地方都市を充実させていく必要がある。
二つ目の要因は、政令指定都市としての大阪市の存在である。政令指定都市は都道府県と同等の権限を有する自治体であり、このことは大阪において大阪府と大阪市という二つの広域行政を担う自治体があることを意味する。二重行政により同じようなビルが二本建ったり、大きな体育館や図書館が二つずつ建設されたりすることの弊害をよく叫ばれるが、本当の意味での弊害はビルが二本建つことそのものではない。そこに「成長戦略」がないことが最も重要な論点である。大阪をどのような都市にするべきか、そのプランが大阪市のプランと大阪府のプランの二つが存在し、しばしばその整合性が損なわれてきたのである。ダブル選挙によって、大阪維新の会の橋下市長と松井知事が誕生した時に大阪全体を考える「成長戦略」がまさにひとつになったと言える。「大阪都構想」はその状況を恒久的に制度として作り上げることであった。
5月17日に行われた大阪都構想の住民投票が否決されたことにより、これらの大改革は足踏みを余儀なくされた。しかし、依然として大阪維新の会は大阪府においても、大阪市においても第一党であり、これまで通り大阪の二つの役所、大阪市と大阪府においてひとつの「成長戦略」を描くことは可能である。この枠組みの中で大阪が世界の都市へと成長する戦略を描いていくことが重要である。
なお、その道程の中でわが町岸和田がどのような発展を遂げるべきか。岸和田の伝統と文化をしっかりと生かし世界に岸和田を押し上げていくことが望ましい。具体的には、岸和田における「人の質」を高めることにより、観光で来ても素晴らしい体験ができる。支社や店舗を構えても素晴らしい人材を確保できる。そのような状況を創り出すことが重要である。そのためには、教育と福祉を充実させることが最も現実的である。教育については、一元的に学力そのものを高めるのではなく、それぞれの個性を伸ばす「多様な教育」、福祉については、のびのびとした経済活動を可能にするセーフティーネットとして、社会福祉を必要としている方を力づけることで、経済活動に参加していただく積極的な福祉政策が必要と言える。