岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
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第1755回例会 10月 5日(金)

『 トピック 』

10月度会員誕生日



卓 話

『 フィリピンについて 』 

米山奨学生
タピア,ミゲル・レオ・ヴァーガス様


(卓話担当:杉本和也会員)

 岸和田東ロータリークラブで卓話をさせていただくようご招待していただき誠にありがとうございます。米山奨学生、フィリピンから参りましたタピアミゲルと申します。プール学院大学国際文化学部国際文化学科4年生です。カウンセラークラブである堺フェニックスRC、そしてカウンセラーの京谷智明さんのご指導ご鞭撻のもと、米山奨学生として大変お世話になっております。
 米山奨学生に選ばれたのは大変光栄に思っており、日本への興味もより一層持つようになり、日本に対する理解も深まっていることが何よりも嬉しく思っています。そして、米山奨学金のおかげで学業も生活も、昨年より大分楽になって非常に助かっております。去年から日本で生活しはじめ、生活風景はもとより、日本人との交流や日本の道徳、倫理など、日に日に理解を深める一方です。
 私は子供の頃から、自分が他人にしてあげたことは、やがて自分に返ってくるとずっと信じていました。しかし、この24年の間、自分のことしか考えておらず、ボランティアや奉仕なんか、自分さえよければそれでよいとしか頭の中に入っていなかった・・・と思っていたら、ある出来事がきっかけでそれが大きく変わりました。
 ある日のことです。2009年10月、訪日ツアーで東京に行っていましたが、ホテルへの帰りの電車で待っている間、人身事故のため乗り換えるようにとアナウンスが流れました。自分から数メートルのところから、どうやら二個下のようなある女の子がスーツケースを持っていて、どうすればいいか分からないようにうろうろしていました。アナウンスが分からなかっただろうと推測して、声を掛けてみようと思いましたが、おせっかいだと思われたくなかったので最初は遠慮しました。しかし、日本にいる外国人同士だし、当時助けられるような人は自分しかいなかったので、勇気を出して話しかけてみました。すると、彼女はすぐに応えてくれました。話を聞いてみると、彼女はお母さんと一緒にアメリカから来て、ホテルを変えなければならなくなり、お母さんに神田駅まで電車で来いと言われたらしいです。日本語が分からないまま秋葉原まで来られたが、アナウンスが出たらどうしたらいいか分からなくなり、人に聞いても通じなかったから困ったというのです。神田駅まで案内しました。改札口まで送って、彼女の感謝のお辞儀がとまりませんでした。その瞬間が最高でした。報いなんか何ももらいませんでしたが、彼女が伝えてくれた感謝が何よりも一番嬉しかったです。報いを期待せずに満足するその気持ち―それが今までの人生で一番気持ちよかったと思います。報酬を期待せずに誰かの力になれたその瞬間が、今までの人生をわがままにしてきたなということに気付かせてくれました。それに、「誰か」を助けるために「誰か」にならなくてもいいということにも気付かせてくれたのです。貧乏人だから、頭が悪いからといって助けられるわけがないと思うのではなく、一人ひとりには自分にしかできない力があるから絶対自分にはできると思うのです。私は、最初はためらいましたが、心の奥から「あなたには日本語と英語ができる力があるんだ」という囁きが聞こえて最終的に声を掛けて助けました。そして今振り返ってみる、本当にそうしてよかったなと思います。なぜなら、お金で買えない貴重な経験ができたし、その経験からいいことを学んだからです。その経験を機にし、彼女のように困った人のために、日本語と英語力をより一層上達させようと思うようになりました。現在は日本語教師になるために勉強していますが、英語と日本語ができる自分みたいに他の人の力になってあげるような人を育てられるように頑張ろうと思います。違う文化で育ったから、肌の色が違うからという理由なんて、心の奥に聞こえる鼓動は皆同じです。私たち人間を助けられるのは私たち自身。人間同士で助け合い、人間同士で共に生きる。東京であったその出来事が教えてくれたのです。だからこれから、いい日本語教師になるために頑張り、ちりも積もれば山となるというように、自分なりに一歩一歩進んでいけばいつか、もっとたくさんの人の力になれると思います。