|
|
本日は肝炎で臨床的に問題となる経口感染によるA型肝炎、輸血等血液を介するB型肝炎、C型肝炎の内C型肝炎についてお話させて頂きます。何故かというと本文でも述べていますが、肝癌の原因の約8割を占めております。C型肝炎ウイルスはRNAウイルスであり治療でウイルスを除去可能であります。それに対してB型肝炎ウイルスはDNAウイルスで完全にウイルスを除去できません。
それでは「C型肝炎について」お話を進めさせて頂きます。
C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染し肝臓が慢性的に炎症をおこしている状態で、自覚症状はほとんどありません。病気が進行すると肝硬変・肝癌になる可能性が高くなる。
日本では、年間約3万人の方が肝癌で亡くなっています。肝癌の原因の約80%がC型肝炎です。残り20%の内約15%がB型肝炎で、残りの数%は脂肪やアルコールによるものです。60歳をこえると肝癌になる可能性が高くなります。
C型肝炎ウイルスは体液や血液を介して感染します。
以前は、感染している人の血液を用いた輸血、血液製剤(フィブリノーゲン)と汚染された注射器や注射針による医療行為などがあった(ディスポーザブル製品を使用)。現在は、覚醒剤を打つなどの注射器の使い回し、入れ墨を彫る、十分に消毒されていない器具を使ってピアスの穴をあける、母子感染(感染率は低い)などが考えられる。
病気の経過は急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝癌へと気づかれないままおおよそ20〜30年で肝癌へと進んでいきます。
C型肝炎に感染しているかは血液検査で分かります。20歳から39歳までは大阪府の肝炎ウイルス検査(B型肝炎・C型肝炎)があり無料。40歳以上は岸和田市の検査で5年ごとで行い費用は500円です。
市内の医療機関、岸和田保健所で検査できます。
C型肝炎(B型肝炎も同じ)に感染していることが分かったなら、専門の医療機関(岸和田市内なら市民病院、葛城病院があります、例外としては協力医療機関である徳州会病院及び高松医院の高松正剛先生がおられます)での診察・検査を受けてもらいます。
診断のながれ @問診A血液検査B画像検査
C腹腔鏡検査・肝生検。
A血液検査でウイルスを確認
(ウイルス量、ウイルスのタイプなど)
精密検査を行い、治療の必要があるかないかを決定する。
C型慢性肝炎の治療目標は
1.ウイルスの排除 2.病気の進行を遅くする。
1.ウイルスの排除はインターフェロン治療が主である。その他補助的にリバビリンを使用する場合がある。基本的には治療ガイドラインが決まっている。
2.病気の進行を遅くする方法には、インターフェロンの少量・長期投与、グリチルリチン、ウルソデオキシコール酸、瀉血等がある。
治療効果についてウイルスの量、ウイルスの種類によって効果が異なる。
治療中の副作用について
初期(1週間以内)…インフルエンザ様症状
(発熱、頭痛、体がだるい、関節が痛い)
一番多い発熱も最初が一番ひどく、1週間程度でおさまってくる。
中期(2〜12週間)…体がかゆい(抗ヒスタミン剤を併用)
歯ぐきから血が出る、鼻血が出る(血小板減少による)
食欲がない、おなかが痛い、下痢をする、吐き気がする、貧血
後期(2〜3か月以降)…脱毛
治療期間を通してみられる副作用に注射したところの炎症やかゆみがあります。
特に注意が必要な副作用に病気の合併があります。
1.間質性肺炎
(高熱がでた、発熱がつづく、咳が出る、息切れがする、
息が苦しい、体がだるいなどの症状)
2.脳血管障害
(血圧が上がった、頭が痛い、体の片側が麻痺する、吐き気がする、
しゃべりにくい、考えがまとまらない、手足がしびれるなどの症状)
3.うつ傾向などの精神神経症状
(眠れない、気持ちがひどく落ち込む、ぼんやりするなどの症状)
自覚しにくい副作用だが血液検査でわかるものとして
ヘモグロビン減少(貧血)、血小板減少(出血傾向)、
好中球減少があります。
日常生活で気をつけること
1.副作用を少なく抑えて治療を続ける
2.避妊をする
3.事故防止
4.他人に感染させないようにする
・カミソリ、ひげそり、歯ブラシの共用はひかえる。
・食器の共用や入浴では感染しない。
・C型肝炎ウイルスはセックスではほとんど感染しない。
・女性が感染している場合、生理中とその直後はひかえてください。
医療費助成制度
平成20年度から開始で予定では26年度まででその後はまだ決まっていない。
助成の対象
・ウイルスの排除を目的とするインターフェロン治療
・その治療における検査料や副作用に対する治療費
助成額
所帯あたり市町村民税課税年額により3段階に区分されている。
申請に必要な書類・手続き
専門医療機関で治療を受けることになった際に医療機関で説明してもらえます。
どうもご静聴ありがとうございました。 |
|
|
|
|