岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
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第1623回例会 11月20日(金)

『 ウォーキングのすすめ 』 岡 本 平 仁 会員

 私の趣味の中で唯一、ぜひともお伝えしたいことを話させて頂きます。
 これでも社会人になる前は、結構スポーツも好きで何かしらしていたのですが、大学を卒業して働き出すとだんだんと何もしなくなってきたのです。仕事がら、1日中薬局に居るのですから、とうぜん運動不足。休みで時間が出来ても何もせずにぼーっとしたり、テレビを見たり基本からだを動かすことはすごく少なくなりました。体重も10kg以上は太って、今でいうメタボの領域になりました…そんなとき、1つのきっかけとなったのが2/7、IM6組において京都大学大学院森谷教授の講演を聴いたことです。

メタボにならない脳のつくり方 森谷敏夫 京都大学大学院教授
「メタボ健診」について
 何故今メタボ健診なのか?それは、内臓につく脂肪、内臓脂肪が問題になるからです。成人男性の場合、BMIが25以上で、体脂肪率が25%以上で、内臓脂肪が多いときに「肥満症」という病名をカルテに書かれます。その内臓脂肪からは高血圧を引き起こす因子や、血糖値を高くする因子・高脂血症を引き起こす因子・血栓を形成する因子・炎症を引き起こす因子といったものすべてが、内臓脂肪から出ることも解明されているのです。メタボの人は生活習慣病に移行するリスクが高いのです。
 まず最初にからだの機能について説明してます。「食べ過ぎのメカニズム」からだの体脂肪を調節しているのは基本的には脳であり、脳の食欲中枢がその人の体型をコントロールしているわけです。大脳の視床下部にある交感神経が食欲中枢の担い手であり、ここで脂肪の量とか食欲の量を決定している。脂肪が溜め込まれてくると、白色脂肪細胞からレプチンという「やせろ」信号が出てきて、視床下部の交感神経を刺激し「もう食わなくていい」信号が出る。すると次から食事の量が自動的に減ることになります。食欲とか体脂肪調節というものは自律神経がやっているのです。
 交感神経が元気なときは、太ってくるとアドレナリンというホルモンが出ます。すると脂肪分解酵素のリパーゼが活性化して中性脂肪が遊離性脂肪酸という動きやすい脂肪に変わります。遊離脂肪酸は血液に乗って背中とか脇腹に運ばれ褐色脂肪細胞によって発熱する。交感神経の刺激が余った脂肪を分解して消費するのです。女性も男性も加齢とともに交感神経の働きが弱くなり神経調節がしにくくなる。また自分を刺激するようなことはしなくなるので、余計に中枢神経の働きも弱くなる。これが中年太りの根源なのです。
 運動はエネルギー消費を目的としてやるのではなく、もっと一義的には自分の弱りきった食欲、体重を調節する神経機能を改善し、元気に復活させるためのものであるはずなのです。
 最新のエビデンスとしては、運動をすると免疫系のインターロイキン6などの筋細胞由来のよい生理活性物質が出るのに対して、脂肪細胞からは悪い生理活性物質が出るというのがあります。血圧を上げ、高脂血症をもたらすのは脂肪であり、それを食い止める働きをするのが筋肉ということです。たとえば脂肪の代謝を促進する酵素を作るための素材や、認知症を予防するような脳神経栄養因子を増やす物質は実は筋肉から出ていて、その筋肉から脳に運ばれた物質によって、遺伝子が動くという話も出てきています。脳の知的機能だとか脳細胞のメンテナンスに関与するような遺伝子をONにするスイッチというのは、筋肉からたくさん出ていることがわかってきたということです。だから圧倒的に運動している人のほうが免疫の機能もよくなるし、認知症に対する防止にもなるし、心臓循環器系の機能もよくなるわけです。運動が肥満の防止薬にとどまらず生活習慣病の万能薬であることを理解していただけたでしょうか。
アメリカの著名な生理学者も明言しています。運動というものをクスリにできるのだったら、これをすべての患者に飲ませたい、と。
 著者が運動を続けている理由。自分の体験から、人は運動をすることで仕事にも集中できるようになるのです。からだを鍛えずして心が鍛えられるはずはなく、からだが元気でしっかりして初めて頭もはっきりするのです。脳をサポートしているのはからだなのです。心臓や筋肉が大脳にしっかりと栄養を送るから脳は生きているのです、と。
 有酸素運動の効果に関する研究では、週1回のトレーニングでは改善があまり認められず、週3〜5回の運動頻度でもっとも効果が上がることがわかりました。面白いことに、週に2回よりも3回のほうが体力のつき方や血圧、血糖値の下がり具合では優位になるものの、週3回のグループは毎日運動するグループと比べても遜色ない運動効果をもたらすということがわかったのです。ただし同じ週3回の運動でも、月・火・水と連続すると、水曜日から翌週の月曜まで間隔が開きすぎてしまい運動効果は半減してしまうのに対して、月・水・金というように1日おきに運動するとその効果は毎日運動するのとほぼ同じでした。1回の運動で生まれる効果は、48時間以上もたないということもわかりました。
この講演が私をウォーキングへと導いてくれたのです。

ウォーキングをしてみて分かったこと
 まず足の裏がぽかぽかしてきます。しばらくすると指先も暖かくなります。(約20分ぐらいで)そして、肩から上もすっきりした感じになるのです。歩くと自分の周りの時間が普段と比べてゆっくりに流れだします。これがポイントです。そのゆっくりした流れの時間を使うといつもとは違う自分や周りを発見できるのです。何か哲学的なことを言い出したと思ったでしょ?このことを友達とかに話すとよく言われます。修行僧みたいなことを言うんやなーと。でも日頃気付かなかったことに気付きだしてくると楽しさは倍増するのですよ。本当です。
 もし歩いてみようと思われたならお薦めしたいことがあります。まず、格好から入って下さい。ウエアを選び、シューズを選ぶ。膝などへの負担を和らげてくれるのがお薦めです。そして、もし何かの治療中でしたら主治医に相談して下さい。
 ウォーキングの味方、歩数計も忘れずに。歩く前には、十分なストレッチと水分補給が必要です。自然の中を歩くのがお薦めです。よく森林浴と言われますが、森林の香りには「フィトンチッド」という、自律神経を安定させる作用があるとされる物質が含まれており心身のリフレッシュに効果的です。ウォーキングが終わった後は、クールダウン。ストレッチで筋肉痛を予防して下さい。