岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
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第1596回例会 4月24日(金)

  『 最近のインプラント治療について』 川 植 康 史 会員

  平成20年の1月に私は頚椎症性脊髄症でC3からC6までの4個の骨の椎弓形成術の手術を受けました。頚椎症は高齢化とともに非常に増えている疾患です。予防の意味を踏まえて頚椎症についてご説明させていただきます。

●頚椎症について

 体を支える働きのある柱構造(脊柱)のうち、首の部分の7つの背骨を頚椎と呼びます。頭蓋骨を支え、首を前後、左右に回す動きを担当します。この頚椎(椎骨)と椎間板が変形・変性をきたした病気を総称して“頚椎症”といいます頚椎で脊髄の通る部分はスペースとしてそれほど余裕がありません。脊髄は脳から続く神経回路の塊ですから圧迫に対して弱く、障害されると機能の回復が困難な面をもっています。


(胸椎では同じ脊髄ですが順に神経根が枝分かれした分だけ構造が変化します。腰椎では脊髄はすべて枝分かれを終えて神経根という信号ケーブルの束になっています。機能をもった回路と違って、ケーブルの障害は回復の可能性が大きくなる特徴です。)





●頚椎症ってどんな病気?



変形性頚椎症
 力仕事やスポーツ、姿勢不良、小さな外傷の積み重ねなど生活してきた歴史と加齢変化としての頚椎の変形、椎間板の変性や破綻が頚部の痛みや重苦、運動制限など頚部の症状として現れた状態です。
 中年期からレントゲンで見える骨棘や骨堤、椎間板部分のへたり、本来の前彎の変化がみられます。形態の変化分の症状が必ずあるとは限りません。

頚椎症性神経根症

 変形性頚椎症が原因で神経の枝分かれ部分(神経根)が圧迫されておこるシビレと痛み(神経痛)、筋力の低下や萎縮などの運動マヒをいいます。
 何番目の神経根が左右どちらで圧迫されたかによって、その神経根が担当する区域に地図が描ける症状を示します。

頚椎症性脊髄症

 変形性頚椎症を原因として頚髄が障害された状態です。頚髄は脳からの神経回路の集まりで、手足までの信号ケーブルと中継回路が詰まっています。
 上方の脊髄では脳幹神経核の症状として眩暈や嚥下障害がでる場合、程度によっては呼吸マヒで死亡する危険な状態があります。

●頚椎症ってどんな症状


変形性頚椎症

 無理をする、重いものを持つ、姿勢が悪い、などのきっかけで肩が凝る、首筋が張るなどの症状が現れます。症状が慢性化すると筋緊張(スパスム)の力は頚椎にかかる力学的ストレスを増加させ、頚椎の変形を助長する悪循環を呈します。

頚椎症性神経根症

 上を向くと痛みが走る、右に傾けるとひびくなど頚椎の動きで症状が変化します。頭を押さえると椎間孔が上下に狭くなり痛みが再現されます。

頚椎症性脊髄症

 症状は肩周りから手指までの上肢症状と、脊髄のやや中心よりの臀部から足までの回路も圧迫された下肢症状があります(四肢マヒ)。同時に頚部自律神経も障害されて顔面や目の症状を伴う場合があります。
 膀胱や肛門の神経も障害され排尿障害(オシッコが出にくい)や排便障害(自力で排便できない)などをきたす場合があります。

●頚椎症性脊髄症

 頚椎の変化によって脊髄が圧迫され、種々の神経症状を表すものです。
 脊髄症になると、階段を昇り降りするとか衣服のボタンを留めるなどの「協調運動」がうまくできなくなります。頚部の痛みがずっと以前から続いていたり、協調運動がうまくできなくなったり、歩行困難、急に筋力が低下してきたり、以前はうまくできていたことが最近はできなくなったなどの症状がでます。
脊髄症と診断されたら慎重な対応が必要です。
 万一転んだり頭を打ったりすると一気にマヒがでる恐れが大きくなります。とくに四肢のマヒ傾向や痙性から転びやすくなっていますので、注意が必要なのです。
 脊髄の腫れやムクミをとる目的でステロイドホルモン剤を内服したり点滴する場合があります。改善がみられない場合には手術が必要です。圧迫が原因ですから、トンネルを拡大する除圧手術が必要です。頭を支える頚椎の強度を低下させないための工夫があります。

 頚椎の不安定性がある場合や、椎間板の問題の場合には当該部位の椎間板を切除して橋渡しの骨を移植して頚椎同士を癒合させる固定術も併用されます。若干頚椎の動きが制限されますがやむを得ません。
 マヒの改善傾向があっても一定のシビレが残ったり、脊髄障害の後遺症として痙性(ギクシャクする)などの所見が残る場合があります。
 膀胱直腸障害がある例では手術までの期間によってはこれが最後まで問題となるケースがあります。

脊柱管狭窄症

 頚椎症は脊柱管が狭いことによる圧迫により症状が発現します。脊柱管狭窄症は主に中年以降に発症し、四肢・躯幹の痛み、しびれ、筋力低下、運動障害が主症状となります。脊髄麻痺のため高度の歩行障害をきたすほか、いわゆる間欠跛行のために歩行困難となることもあります。
 病変が1か所である単発性の脊柱管狭窄症は定型的な症状を呈するので、診断も比較的容易ですが、脊柱管腔の狭小が多発する場合は症状が複雑なため診断がしばしば困難となる場合もあります。
 一般に頸部脊柱管狭窄症は痙性四肢麻痺、胸部脊柱管狭窄症では痙性対麻痺、そして腰部脊柱管狭窄症では馬尾または神経根障害(弛緩性麻痺)を呈します。

(1)四肢・躯幹の疼痛、しびれ、知覚鈍麻
(2)四肢・躯幹の筋力低下、運動障害。
(3)間欠跛行。
(4)膀胱・直腸障害。
(5)症状は増悪、緩解をくり返し、徐々に進行して歩行困難に陥る。
(6)転倒などの外傷により症状は悪化し、重篤な脊髄麻痺をきたすことがある。


●治療法

 椎弓切除術、椎弓形成術




●頚椎症患者からの御提言
 1.肩こり、手の痺れ、足の痺れを甘く見ない
 2.忙しかったから、疲れているからと自分でごまかさない
 3.早めのチェック、特にMRIは有効
 4.頚椎症、腰痛があれば主治医(執刀医)をきめておこう