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『 トピック 』 |
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各会員
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『本市の消防体制と新消防庁舎の概要』 |
岸和田市消防本部
消防長 瀧 藤 修 一 氏 |
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平素は、本市消防行政各般にわたりにご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
それでは、卓話と言うことで貴重なお時間を頂き、現在建設中の消防本部庁舎の概要と消防体制などについて、お話させていただく前にまずは、岸和田市消防本部の沿革についてお話をさせていただきます。
岸和田市消防本部は自治体消防制度が発足した昭和23年3月に1本部1署2出張所、職員34名で消防行政をスタートし、昨年で60年の大きな節目を迎え、明日の3月7日には、61年目を迎えます。
当初は戦後の復興期でもあり、乏しい人員、資機材の中での出発でしたが、その後、目覚しい経済成長の中で、さまざまな資機材の開発をはじめとする消防の環境変化を経て、また、幾多の先人をはじめ関係各位の皆様方、そして市民の皆様方のご協力により、地域に密着した防災機関として着実に発展してまいりました。そして、現在1本部1署2分署3出張所、職員166名体制で市民の安全・安心を守っています。
それでは、今年、秋に完成を目指し、現在建設中であります新消防本部庁舎の概要について、お話させていただきます。
まず、新庁舎の建設場所は、上松町にあるコモ池跡地で、第二阪和道路別所東交差点を山手方向に上がり、JR阪和線、府道和泉泉南線を越え、更に300m程山側に行った場所で、前面を岸和田港福田線という広い都市計画道路が通っており、現在、南東方向へは星和上松台入り口付近まで開通いたしておりますが、いずれは、水道路まで延伸されると、聞いております。
建設する新消防本部庁舎の工事の進捗につきましては、去年、10月1日に工事着手し、基礎工事を終え、今月から免震装置の取り付け躯体工事が始まる予定です。
建築の概要ですが敷地面積は3,731uで、鉄筋コンクリート造、地上4階建、建築面積1,443u、延べ面積3,835.32uの本部庁舎1棟と、付属建物として、訓練塔1棟を併設した物となります。
次に、各階の主な用途ですが、1階、床面積1,376.34uで受付、車庫、仮眠室、資機材倉庫などを設け、2階は、床面積373.82u1階の階高が高いため、空いた空間を利用し倉庫としています。3階は、床面積1,078.63uで消防署事務室、通信指令室、作戦室、会議室、食堂、4階は床面積1,006.53uで、本部事務室、研修室兼多目的ホールなどとなっています。
今回の新庁舎建設にあたっては、やはり、近い将来、高い確率で発生が心配されている東南海・南海地震の発生を充分意識したことと、老朽化した現有の消防指令システムの、更新が急務であったところです。また、近年、都市構造や災害の様態が急激に変化し、加えて、急増する救急需要などへの対応や、危機管理体制の強化が求められております。
このように、消防を取り巻く環境が、劇的に変化を遂げていく中での庁舎建設ですから、それらに柔軟に対応することのできる、新時代にふさわしい消防庁舎にしなければなりませんでした。そこで、庁舎を設計するにあたり、私共といたしましては、次の3つのコンセプトを考え行うこととしました。
まず第1は、《防災拠点としての機能の確保》の観点から重要なことは4点ございます。一つ目は、我々の業務は1分1秒を争うものですから、効率的な出動体制の構築は必要不可欠であります。そこで夜間時の出動時間の短縮のため1階車庫の後ろ側に仮眠室を設け迅速に出動できる設計としました。
二つ目は、労働環境に配慮した建物であることです。ご存知のとおり消防は24時間交替で勤務に従事しております。また近年、女性消防士を採用し、交替制勤務に就かせ、男性職員と同様に、「災害現場に出動させる」といったことが行われてきています。そのことからプライバシーに配慮した建物を造る必要があり、その結果「仮眠室の個室化」を採用しました。
三つ目は、災害時の通信網を確保することです。大きな事故や災害が発生した場合、消防本部の通信指令室の119番通報を受け付けるシステムに、通報が殺到します。現有のシステムでは対応することは困難でしたが、新しいシステムですと、7から8回線の通報を同時に受けることができることから、今回の、庁舎建設に併せて高機能消防指令システムの導入を計画しております。
四つ目の、防災拠点としての機能の確保をするためには、重要なことがあります。震災などの大規模災害が発生した場合、まず問題となるのが、電気、ガス、水道、いわゆるライフラインの停止遮断です。その対策として、この庁舎には、停電時の対策は、72時間賄える非常用自家発電設備の設置、他にも、上下水道の停止、ガスの停止などを想定し、ライフラインが復旧するまでの間、持ち堪えられるように、最低限の設備を備えています。
次に、第2点目の観点は、《市民の安全と安心のシンボル》です。当然のことですが、消防庁舎は災害時の防災拠点であり、安全性、信頼性の高い建物でなければなりませ。そこで、今回の消防庁舎は岸和田市の公共施設では始めてとなる免震構造にし、阪神大震災級の地震にも匹敵する最大横揺れ60cmまで耐えられる構造にしております。
第3点目として《庁舎としての経済性と利便性への配慮》ということですが、消防庁舎は、その任務の特殊性ゆえ、365日、24時間、一日たりとも休むことなく、フル稼働している建物ですので、消費されるエネルギーも半端な量ではありません。少しでも、ランニングコストの縮減と、エネルギーの節約、自然に優しい環境配慮型庁舎を目指すことでした。そこで敷地周囲の緑化の推進、冷暖房温度の集中管理、人感センサー付ライトの多用、太陽熱温水器の採用などハード面で対処できることは、イニシャルコストとランニングコストの両方を考えながら対処しています。
最後に、今回の消防本部の移転により、これまで北部地域に集中していた消防力が南部地域にも分散され、行政サービスの向上につながったことも大きなメリットとなり、救急車の出動一つみても、旭・太田、天神山、修斉校区といった地域への、出動時間の短縮が図られ、また、高機能消防指令システムを導入することにより、災害現場にいちばん近い車両を出場させることが出来るなど、被害の軽減と救命率の向上につながるなど、此の度の新消防本部建設により、得られる効果は絶大なものと確信いたしております。 |
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