『 トピック 』 |
入会記念日インタビュー
藤 井 秀 香/加 藤 寿 昭
山 口 英 之/辻 林 一 郎
藪 和 弘/川 植 康 史 各会員
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『廃棄物処理業界の現状と問題点』 |
近畿環境興産株式会社
代表取締役 田 中 正 敏 様 |
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21世紀は環境の世紀と言われており、昨今、省エネ、省資源、地球温暖化、ECO、低炭素社会など環境に関して市民の関心が高まってきています。本日はその中で永年産業廃棄物のリサイクルに携わってきた経験に基づき、廃棄物処理に関してお話申し上げます。日本では家庭からの廃棄物を一般廃棄物、それ以外の廃棄物を産業廃棄物と区分されています。一般廃棄物は約5千万トン/年、産業廃棄物は約4億トン/年排出されています。一般廃棄物はご承知のように行政の責任で処理されています。産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあり、事業者が自ら適正に処理しなければなりません。すなわち、廃棄物の排出事業者である「企業」が廃棄物の適正処理に対して最も重い責任を負う。
但し、自ら処理できない場合は許可を有する産業廃棄物業者に委託基準に従って委託することができますが責任はあくまで排出事業者である「企業」にあります。委託基準に従って委託しても確認義務等を怠り、万一不法投棄などされるとマスコミに報道され企業のイメージは失墜するだけでなく、不法投棄された廃棄物の撤去費用の負担や5年以下の懲役もしくは最高1億円以下の罰金が科せられます。廃棄物処理に関する法律が強化されているにもかかわらず、悪質な不法投棄が後をたちません。この問題の原因は排出事業者自体が法律をよく知らなかったり、廃棄物に対する認識が甘かったりすることが上げられます。
それでは不適正処理や不法投棄を防止するには優良業者とそうでない業者を見極めなければなりません。廃棄物処理業者を選ぶために次の8つのポイントをチェックしてください。
(1)委託する廃棄物の許可を持っているか許可内容を必ず確認すること:
廃棄物処理業は処理する内容によって許可内容が異なります。許可期限、許可品目、処理能力など。
(2)行政処分歴の有無:
度重なる行政処分は法に対する認識の甘さを示します。処分歴は行政窓口で確認できるので必ず確認しましょう。
(3)処理フローの明確性:
どこに持っていってそのように処理しているのか必ず現場を訪ねて確認しましょう:中間処理後残渣の処分先との契約書の掲示を求めましょう。
(4)事業場の様子:
事業場が廃棄物であふれていないか、契約書、マニフェスト・帳簿、処理実績などがきちんと保管されすぐに提出されるかどうか。また、整理整頓されてないところは避けましょう。環境省の優良事業者評価制度を活用しましょう。
(5)情報公開の姿勢:
外部に対して情報をオープンにしないところは避けましょう。
HPや環境報告者などで積極的に情報開示をしている業者を選びましょう。
(6)処理業者の財政状況:
経営状態の悪化が不法投棄を招くことが多いので注意しましょう。赤字か黒字かより数値の推移が重要。不自然な点は業者に直接確認しましょう。
(7)近隣住民からの評判:
近隣とトラブルを起こしているところは避け、住民とコミュニケーションうまく言っている業者を選びましょう。
(8)処理料金の掲示方法:
値引き交渉に利用するのではなく、料金が合理的な根拠で決まっているかを判断する材料として活用する。市場単価の半額などは不法投棄の虞があり排出者責任を問われる可能性があります。
以上8つのチェックポイントに留意して廃棄物処理業者を選択して委託することにより排出事業者としての責任を果たし、3R(発生抑制、リユース、リサイクル)を推進していただくことをお願いして本日の卓話を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。
PS:廃棄物処理でお困りのことがあれば遠慮なくご相談ください。 |