岸和田東ロータリークラブ 国際ロータリークラブ第2640地区
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第1584回例会 1月23日(金)

  『公的土地価格の種類と使い方』 田 畑 慶 裕 様

1.地価公示・標準価格(公示価格)

 住宅地域や商業地域などで、一定の割合で設けられた標準的な実在する土地(規模、形状、用途などで)の更地としての毎年1月1日の「正常な価格」が3月20日頃、官報等で発表されます。以下に出てくる相続税路線価や固定資産税の評価額など他の公的土地評価のベースとなっています。地域による温度差はあるかもしれませんが、概ね、売り手にも買い手にも偏らない価格と言えます。ただ、バブル期のようなときや局所的な急激な地価変動には動きがついていかないこともあるでしょう。官報のほか国土交通省ホームページなど、様々な資料で閲覧可能です。また、公示地点のうち一部を「代表標準地」として、下記地価調査地点と共通とし(通称「共通地点」)、半年ごとの地価動向が判明できるようにしています。

2.地価調査・基準価格(地価調査価格)

 1.の公示価格の補完的性格を持つ公的価格で、ほぼ同じ基準で選ばれ、価格の判定水準もほぼ同じと考えていい価格です。大きな違いは、1月1日の価格→7月1日(発表も9月20日頃)、実施者が国→都道府県、担当鑑定士2名→1名などですが、一般の方は時点の違い以外はあまり考えなくとも差し支えないでしょう。

3.相続税路線価

(相続税・財産評価基準書の路線価図に記載されている価格)
 本来は相続税や贈与税の税額算定のための国税庁が公表する土地価格です。個々の土地に価格を付けるのではなく、土地が面する道路に地価を表示(路線価といいます)、この路線価をもとに土地価格を算出していくわけです。公示価格のように点ではなく、面的に敷設、地図で表示されており、周囲の地価との関連もわかります。市街地ではほとんど路線価発表範囲に含まれ、土地取引などの参考にされるのも多いのはこれらのことによるものと思われます。また、毎年公表(7月1日)されるので、大まかながら地価の推移もわかります。価格水準的には、売買ではなく納税のための財産評価ということもあって、公示価格の概ね80%程度の水準と言われています。注意すべき点は、路線価はあくまで標準的な土地についてのものであり、規模とか形状とかは個別に考えなくてはいけません。また、価格時点(1月)と発表(7月)までの期間が長いことも要注意です。路線価図はインターネットの国税庁ホームページで誰でも簡単に見ることができます。
 国税庁路線価ホームページ:www.rosenka.nta.go.jp/

4.固定資産税評価額


 同じ課税のためでも、こちらは固定資産税等のためのものです。「等」としたのは固定資産税と一緒に徴収される都市計画税のほか、登記の際の登録免許税や都道府県税である不動産取得税の算定にも使われるからです。また、名前が「固定資産」であることから判るように、土地だけでなく、家屋、船舶、工場内の大型機械なども対象です。実際に毎年徴収する固定資産税等のためのものですから、各土地の個別性(例えば、規模や形状、角地など)が反映された価格となっています。目安的には、公示価格の70%程度であることが多いようです。実際の課税は負担調整や各種減免などが行われるため、「評価額」と固定資産税の「課税標準」、都市計画税の「課税標準」が異なることもあり、この点は要注意です。他人の財産と言うことで原則非公開、所有者、納税管理人などの本人か、委任状がないと評価証明(公課証明)は交付されません。

5.いわゆる実勢価格とは?

 以上の「公的価格」、特に最初の「公示価格」は買い手にも売り手にも偏らない、自由な取引市場があったとした場合の正常な価格として決められているものです。巷でいわゆる実勢価格とか、相場価格とか呼ばれるものには、いろいろな思惑や主観などが含まれている可能性があります。